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接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと お客様からもメンバーからも熱愛される「ホスピタリティチーム」の作り方
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ビジネス
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はじめに

『接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと お客様からもメンバーからも熱愛される「ホスピタリティチーム」の作り方』
[著]船坂光弘 [発行]PHP研究所


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◉キラキラ輝いているはずのリーダーから、笑顔が消えている


 先日、ある飲食店の店長がこんなことを言っていました。

「会社から求められることが多すぎます。売上目標の達成、顧客満足度の向上、残業の抑制や有給休暇の消化、ハラスメントやコンプライアンスの遵守、離職率の低下……どれもやらなければいけないと分かってはいますが、求められることが多すぎて、とても会社からの要望に応えきれません」



 あるホテルの支配人は、

「人手不足で採用募集をしてもなかなか人が集まりません。私が現場のシフトに入り、プレーヤーとしての役割を担いながらマネジメントしないと現場が回らない状況です」



 ある介護職の新人リーダーは、

「リーダーには本当はなりたくなかったけれど、『ほかにやる人がいないからどうしても』と上司から頼まれて仕方なくやっています」



 このほかにも、社員は自分一人だけであとは全員アルバイトで店を切り盛りしなければならない店長、外国人スタッフのマネジメントに苦労しているリーダー、ママさんスタッフが多く子供の病気等で急な欠勤に困惑しているマネージャーなど、接客・サービス業の現場リーダーから悲痛の声が聞こえてきます。



 本来であれば、接客・サービス業のリーダーは、現場でキラキラ輝き、イキイキと立ち回りながらメンバーを鼓舞して成果を導く存在のはずです。ところが、笑顔が消え、眉間にシワを寄せながら、事務所の片隅でパソコンに向き合っているリーダーの後ろ姿が、よく見られる光景となっています。



 それだけ大変な状況の中で、重要な役割を担っている現場のリーダーたちですが、彼らに対しての教育の機会は決して多くありません。コンプライアンスやハラスメントの遵守といったリスクから職場を守るための研修や講習はあっても、

「スタッフが辞めないために、どんなマネジメントをすればよいのか?」

「部下を成長させて組織の生産性を上げるには、どんなマネジメントが必要なのか?」

「メンバーの力を引き出し、組織を束ねて目標を達成するために、リーダーとして何をすべきか?」


 といった実際に現場のマネジメントに役立つ情報や教育の機会は皆無で、手探りで日々悪戦苦闘しながらマネジメントしているリーダーが大半です。

◉本来、接客・サービス業ほどしあわせを実感できる仕事はない


 その一方で、あるホテルマンは私にこんなことを話してくれました。

「私はホテルの仕事が大変で異業種に転職をしましたが、そこでの仕事は自分が必要とされている感じが無く、自分でなくてもいいと感じました。でもホテルの仕事は、お客様から『あなたに会いにきた!』と言われる仕事。つまり自分がお客様に必要とされている仕事だと改めて気づいたので、私にはホテルの仕事しかないと思い、この業界に出戻りしました」


 そんな彼女はホテルのフロントで、今もお客様と向き合いながらキラキラ働いています。



 きっと、今は苦悩しているリーダーの皆さんも、お客様の「笑顔」が見られることや「ありがとう」の言葉が嬉しくて、この接客・サービス業を選んだはずです。


 それなのに、リーダーになってから管理業務や事務作業に忙殺され、そんな自分の仕事の意味すらも忘れかけているリーダーが多いのではないでしょうか。

◉私のリーダーとしての人生を変えた言葉


 実はかくいう私が、まさにそうでした。



 私は大学を卒業して「人と関わる仕事をしたい」という想いから、新卒で長野県松本市にあるホテルに就職しました。


 それからフロント、ベルマン、ハウスキーピング、宴会、レストラン、ウェディングと様々な部署を経験しました。


 そして33歳のとき、マーケットの競争激化により420組あった婚礼組数が287組まで落ち込んでしまったウェディング部門15名)の支配人に抜擢されます。



 しかし、当時の私は部下15名を従えるほどの器量も、マネジメントスキルもまったくありませんでしたし、そんなことを教わったこともありませんでした。


 それから私は見様見真似でマネジメントをしてみましたが、結局自分一人で頑張っても空回りするだけで、業績は回復するどころかさらに下がる一方です。


 私は「自分がなんとかしなければ」という使命感から、本来の支配人としての重要なマネジメント業務から逃げるように、部下そっちのけで自分の得意分野であるお客様との接客に没頭していました。



 そんなあるとき、私の尊敬するある方からこんなことを言われました。


「船坂さん、あなたの今の支配人としての立ち回り方では、あなたの価値は下がる一方ですよ」


「どういう意味ですか?」と聞くと、その方はさらにこうおっしゃいました。


「あなたが担当のお客様を大切にすることはすごく大事なことです。船坂さんが担当することによって、きっとそのお客様はしあわせな夫婦になれると思います。しかし、それは船坂さんが担当できるせいぜい年間50組のカップルだけの話です。あなたはこの部署を束ねる支配人であり、組織としてのパフォーマンスを最大化することが本来の役割のはずです。しかもあなたには愛すべき部下が15名もいる。その部下たちが同じようなスキルを身に付け、同じようなサービスを提供できるようになったら、部下一人当たりの担当数50組×部下15名、つまり年間750組ものお客様をしあわせにできることになります。あなたが支配人として会社や社会に提供する価値は、どちらのほうが大きいか分かりますよね?」



 私にとって、その言葉は衝撃でした。



 なんとかしなければいけないという焦りから一人で頑張ってきたけれど、結果的に(ひと)りよがりで自分勝手だったことに気づきました。


 この出来事が私のリーダーとしての人生を大きく変えることになります。


 それから私は部下に対して、ウェディングという仕事の素晴らしさを伝え、メンバーの想いや考えていることに耳を傾け、メンバー一人ひとりが持っている力をどうしたら引き出せるのかを考え、部下がやりたいことができるようにサポートする役に徹しました。

◉一番大切なのは、部下に対する「ホスピタリティ」


 こうしてリーダーである私の「思考」と「行動」が変化したことにより、前年まで歯止めが利かなかった婚礼組数の落ち込みがついにプラスに転換します。それどころか、287組から451組へと激増し、売上も前年比で1・9倍に増え、その結果、全国のホテルの中で1年間で伸ばした売上が第1位となり、地方都市では異例の日本一を成し遂げることもできたのです。



 この経験によって、私はプレーヤーとしてではなく、リーダーとして部下が提供したサービスを通じてお客様の喜びを感じることができました。また、自分のマネジメントで部下がグングン成長していく姿を目の当たりにすることで、今まで自分には無かったリーダーとしての仕事の喜びややりがい、そして、リーダー職の素晴らしさを実感することもできました。


 そしてそれに加えて、「接客・サービス業ならではの効果的なマネジメントがあること」を確信したのです。



 それは、

「リーダー一人で頑張ってもたかが知れているということ」

「労働集約型のサービス業だからこそ、メンバー全員のパワーを最大化するマネジメントをしなければ、組織に突き抜けるパワーが生まれないということ」です。



 そして、そんなマネジメントを体現するために、私が一番大切だと確信したのは、部下に対する「ホスピタリティ」です。


 ホスピタリティというと、お客様へのおもてなしや厚遇といったイメージがあり、「なぜ部下に?」と思った人もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。社内の人間関係や職場環境が悪ければ、お客様に心からの笑顔やホスピタリティは提供されるはずもありません。もっと言えば、リーダー自身にメンバーに対するホスピタリティが伴わなければ、部下はお客様に心がこもったホスピタリティを提供するはずがありません。


 私がこのような成果が出せたのも、自分よがりのマネジメントから部下を生かすマネジメントに変えたことがすべて、と言っても過言ではないのです。


 そしてこれは決して難しいことではありません。あなたが普段お客様を想うような気持ちで部下と向き合い、ホスピタリティをベースとした「思考」や「行動」を積み重ねるだけで叶うのです。

◉「金銭的報酬」と同じくらい「精神的報酬」が重要な時代


 これからの時代は、スタッフにとって給料や賞与といった「金銭的報酬」と同じくらい、承認や成長といった「精神的報酬」が重要な時代です。あなた自身がこの時代変化に適応したマネジメントにステップアップしないと、時代に取り残されてしまいます。



 私はこのような経験をきっかけに、「社会にもっと、大きな価値を提供したい」という想いを持つようになり、17年間お世話になったホテルを卒業して、今から13年前に今のザ・ホスピタリティチームという会社を立ち上げることになります。



 そして、今ではホスピタリティ・コンサルタントとして、宿泊業だけではなく、医療・介護・保育・住宅・保険・小売りをはじめ様々な業界の皆さまに、研修・コンサルティング・セミナー・講演等の活動を通じて、接客・サービス業に特化した経営課題を解決するサポートをしています。


 最近では年間250回の研修・講演を行い、これまでのべ1万人を超える皆さまに受講していただき、接客・サービス業で頑張っている皆さまのサポートをするために全国で活動しています。

◉ちょっとした「思考」と「行動」を変えるだけ


 本書は、そのような接客・サービス業の現場で頑張っているリーダーの皆さまに向けた内容となっており、ホテルでの現場経験とホスピタリティ・コンサルタントとしての支援実績を踏まえて、接客・サービス業の現場リーダーに必要なマネジメントのノウハウを惜しみなくお伝えします。


 しかもそれは壮大なことをするわけではなく、前述のように、日々のちょっとした「思考」や「行動」をメンバーへのホスピタリティをベースとしたものに変えること、そしてそれを積み重ねることで誰でもが叶うノウハウです。



 これまでも、

●辞めるスタッフが後を絶たなかったレストランが、「メンバー全員が愛せる店」を目指すようになり、離職率30%から10%に減少。

●あるホテルで、「お客様ファースト」の文化を組織に浸透させて、『じゃらん』の口コミ評価5点満点中3・9だったのが4・8にまでアップ。業績もそれに伴い向上し、26ヵ月連続売上目標達成。

●あるウェディング施設で、「組織内の人間関係悪化」により業績が下がり続けていたチームが、メンバー全員で課題と向き合い解決したことにより前年比160%の売上向上。


 など、リーダーシップのあり方を変えただけでこれだけの成果が得られています。



 そして、本書は忙しい現場リーダーの皆さまのために、各項目読み切り型でどこから読んでも理解できる構成にしていますので、気になる項目から読んでいただいて構いません。



 管理職になって間もない新米リーダー、自身のマネジメントの答え合わせをしたいベテランリーダー、将来リーダーにはなりたいけど不安を抱えている未来のリーダー、そして、サービス業の現場を抱える経営者、どの皆さまにも理解しやすく役立つ内容となっております。



 サービス産業(第三次産業)は、今やGDPの75%を占める日本の産業の中心となっています。


 そして、これからの時代、全産業がサービス産業化に向かっており、「モノ」ではなく「コト」、「ハード」ではなく「ハート」の時代です。


 しかも組織の課題はどの業界でもほとんど変わりません。そうした意味で、本書は接客・サービス業に限らず、あらゆる産業の皆さまのお役に立てると自負しております。

◉サービス産業の現場リーダーが輝けば、日本の未来も輝く


 インターネットにより、人を介さなくても商品やサービスを手に入れられる時代がすでに到来しています。コロナ禍の影響もあり、これからAI化が進み、人を介さないビジネスはさらに増えていくでしょう(ウィズ/アフターコロナ時代の接客・サービス業のあり方については、「おわりに」をお読みいただければ幸いです)


 しかし一方で、人の温もりやおもてなし、人の繫がりや絆といった「人でなければ提供できない付加価値がより求められる時代」であることも確かであり、その点では接客・サービス業がより重要な役割を担う時代とも言えます。



 その日本の最重要産業であるサービス産業で、中核を担う現場リーダーがキラキラ輝くことは、日本の未来の輝きに大きな影響を及ぼすと確信しています。


 リーダーであるあなたが輝けば、その輝きがスタッフに伝播し、その輝いたスタッフからサービスを受けるお客様が輝き、そしてそれによってリピーターが増えて会社が輝き、そして、輝く人たちでれ、社会も輝いていく──。


 接客・サービス業は、それだけこれからの日本を築き上げるパワーを持つ、社会的価値の高い仕事です。



 そんな輝かしい日本を築くキーマンはあなたです。


 さぁ、輝きのある明日へ一緒に踏み出しましょう!



 ザ・ホスピタリティチーム株式会社代表取締役/ホスピタリティ・コンサルタント

船坂光弘

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