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(2021/11/26 追記)

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生きがいに気づく、いい言葉 心が楽になる処方箋
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くらし
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はじめに

『生きがいに気づく、いい言葉 心が楽になる処方箋』
[著]樋野興夫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:4分
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 医者は生きた人間を診る──。



 そう、思っている人がほとんどでしょう。


 わたしも、こう見えて、医者のはしくれです。しかし、生きた人間を診て、くすりを処方することも、治療が目的でメスをにぎることもしません。



 それは、わたしが「病理医」と呼ばれる医者だからです。



 若いころは、病気で亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、死因はなんだったのか、生前の病状はどうだったのか、また治療の効果はどうだったのか、といったことを調べる仕事にあけくれていました。


 そんな日々のなか、生後数時間で旅立った赤ちゃんのご遺体を解剖することになりました。



 当時、若くて未熟だったわたしは「いったい、この子はなんのために生まれたのだろうか」と、むなしさを覚えました。


 そして、それ以来、わたしは自問しました。



 生きるとは、どういうことか。

「死」とはどういうことか、と。



 わたしは先人の残した書物を読むなどして、自分が納得できる答えを求めました。そして、ある日、答えが出てきたのです。


「どんな境遇にもかかわらず、人には役割と使命がある」と。



 また、「死から生を見つめる」日々のなかで、わたしは、「死んでなお生き続ける」とはどういうことかを考えるようになりました。


 そんななか、思いがけない出会いがありました。


 かつて、わたしが解剖した、生後数時間で亡くなった赤ちゃんのご両親と、お会いすることになったのです。



 そのとき、ご両親は、わたしにこのようなことを語ってくれました。


「あの子が生まれてきたから、いまのわたしたちがあります。


 あの子の分も楽しく、素敵な人生を送りたいと思っています。


 いまでもときどき、あの子のことを思い出して、二人で話すことがあるんですよ。


 とても短い人生でしたが、いまではあの子にはあの子なりの役割があったと思っています」



 赤ちゃんのことを思い出して、ご夫婦で語りあうとき、お二人の心のなかには、わが子は生きているのだと、わたしは思いました。



 死んでなお生き続けるとは、こういうことなのだろうと、思いました。


 思い出す人がいるかぎり、人は人の心のなかで永遠に生き続けるのです。



 であるならば、生きているいま、わたしはどのようにあるべきなのか。


          *


 わたしが発起人となってはじまった、「がん哲学外来」「がん哲学外来カフェ」には、自分の役割、使命を見うしなった「がん」の患者さんとそのご家族がおとずれます。


 ここをおとずれた方たちがみずからの役割、使命を見つけだせますようにと、対話するなかで、そうっとヒントをお示しすることを、わたしはしています。



 この本を手にとってくださった、みなさんのなかにも、生きがい、ご自身の役割、使命をさがし求めている人が少なくないでしょう。



 人生の役割、使命は、自分自身が見つけだすものだ、という言葉を、ときどき見かけます。たしかに、その通りだと思います。


 ただ、今日見つけよう、明日には見つけようと、肩に力がはいりすぎていまを楽しむことを忘れてしまうと、つまらない。



 それよりも、できることなら、見つける過程をも、楽しむ気がまえでいる、ということが理想的だと思います。


 かくいうわたし自身、いまも日々自分の役割、使命を求め続けています。


 通りすぎる風に、季節を感じながら。



 わたしは人生を「ちびたえんぴつ」と表現することが好きです。



 昔は、ものをたいせつにすることが美徳とされ、みな「ちびたえんぴつ」を使っていた時代がありました。


 わたしも子どものころは、ちょっぴり使いづらい「ちびたえんぴつ」を手に、根気強く、しかし、ていねいに宿題を完成させたものでした。



 人生も、それと同じではないかと思うのです。



 自分に与えられた「ちびたえんぴつ」をたいせつに使って、自分が見てみたい景色を描いてみては消し、描いては消し、という作業を繰り返しながら、自分らしい絵をしあげて残していく。



 それが人生ではないかと思うのです。



 みなさんが、それぞれ、自分らしい絵を残していけますように。


 そして、ご自身の役割、使命を見つけられますように。


 そんな願いをこめて、本書をささげます。


樋野興夫


自分に与えられた

「ちびたえんぴつ」をたいせつに使って、

自分が見てみたい景色を

描いてみては消し、描いては消し、

という作業を繰り返しながら、

自分らしい絵をしあげて残していく。

それが人生ではないかと思うのです。

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