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最強メンタルをつくる前頭葉トレーニング
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人文・科学
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『最強メンタルをつくる前頭葉トレーニング』
[著]茂木健一郎 [発行]PHP研究所


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「もしもし、こちらケン。応答せよ、応答せよ」


 小学生の頃、近所の原っぱで友達と無線ごっこをしていた頃、持ち運びできる電話は、未来の夢のアイテムの一つでした。


 大人になってからは、アップルコンピュータが発売した世界初の個人用携帯情報端末「アップル・ニュートン」を手に入れました。狂喜して使っていましたが、もっと自由に、もっとわかりやすく、今でいうタブレットのような情報端末がいつの日か生まれるのではないかという、SFのような未来を思い描いていました。


 あれから、あっという間でした。携帯電話が出て、パソコンが出て、スマホが出て。手のひらサイズに収まる小さなタブレットで、私たちは電話をして写真を撮り、インターネットで世界とつながり、あらゆる文書や表計算、辞書検索に音楽視聴、動画視聴、健康管理と、ありとあらゆることを日常的に行っています。


 原っぱで「応答せよ、応答せよ」と遊んでいた頃の自分が見たら、目を丸くしながらいったいどんな感想を漏らしたでしょう。遠かったはずの未来、それが現在私たちの生きる二〇二〇年の姿です。


 私たち人類の想像力は、技術革新のはるか先を行っています。百年以上前、人類はすでに月に行くことを夢見ていました。それからわずか数十年後にそれが叶えられるなど、いったい誰が考えたでしょう。


 そんな人類の進歩が、今回のパンデミックでさらに加速しました。技術的にはすでに可能だったのに、人々の慣習という名の壁に(はば)まれて実現していなかったものも、一気にリミッターを外して加速したのです。


 遠隔授業に、リモートワーク、オンライン診療……。


 今回、この本をつくるにあたり、私たちも初めてオンラインミーティングを行いました。これまで本づくりといえば、必ず対面で打ち合わせや取材を行っていたのが、新しい仕事の進め方を試す機会となったのです。


 技術革新と、パンデミックはいつの時代でも、社会構造を根底から変えてきました。


 十八世紀中頃から十九世紀にかけてイギリスで始まった産業革命は、綿織物の生産技術を革新し、製鉄業を急成長させ、発明された蒸気機関により工場制機械工業が成立しました。


 国民一人当たりのGDP(国内総生産)は大幅に上昇しました。多くの労働者が都市に移り住み、一気に都市化も進みました。手作業によるものづくりから、工場での生産性の高いシステムも生まれました。


 これは今の時代によく似た現象ではないでしょうか。AIやロボット、インターネットによる技術革新。私たちの生活も否応なく変わろうとしています。光の部分もあれば、影の部分もあるでしょう。しかし、光を求めて変化し続けることを、私たちは目指すべきです。


 日本が緊急事態宣言下に読んだ新聞にこんな記事が載っていました。パリを拠点に活動している作家の辻(ひと)(なり)さんが寄稿したものです。


 当時のフランスは、まだ新型コロナウイルスの影響でロックダウンが行われており、学校も休校状態です。そんな中、辻さんの高校生になる息子さんがこう言ったそうです。

「僕たちにとっての原っぱはインターネットの中にある」と。



 私が子どもだった頃、友達と遊んでいた原っぱが、今の子どもたちにとってはインターネットの世界。自由気ままに、世界中を飛び回ることができる無限の原っぱ。


 そんな連想をするにつけ、社会の変化を恐れるよりも、未来をワクワク待ち遠しく感じていたあの頃の気持ちを思い出します。


 今、子ども時代を送っている若い世代はもちろん、すでに子ども時代が遠い過去になった大人の私たちも、今一度ワクワクとした未来を思い描きませんか。


 想像力にリミッターを設けるのは、もうやめましょう。


 私たちの未来を妨げるのは、私たち自身の脳内です。未知なるものへの不安、「失敗したらどうしよう」というストレス、それは私たち自身が勝手に設けてしまっている限界にすぎません。


 あらゆる未来と過去に対するネガティブな思いを遠ざけられる「メンタルモンスター」として、先の見えない未来への第一歩を一緒に踏み出していきましょう。



 最後になりましたが、本書を上梓するにあたり、PHP研究所の木南勇二さん、編集協力の石井綾子さんには大変お世話になりました。コロナ禍で本書を手に取ってくださった読者の皆さんにも深く感謝いたします。



 二〇二〇年十月

茂木健一郎

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