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日僑の時代 世界に富をもたらす新しい伝道者たち
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ルポ・エッセイ
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2 愛国心は過去のものになる

『日僑の時代 世界に富をもたらす新しい伝道者たち』
[著]邱永漢 [発行]PHP研究所


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日本人のモットーは「お国のため」

愛国心」というのは、なにも日本人だけの専有物ではない。しかし、日本人の心のなかにしっかり根づいた概念の一つであることは間違いない。


 よその国にも愛国を口にする人は多いし、「あの人は愛国者だ」といった褒め言葉をしばしば耳にする。しかし、愛国という言葉のもつニュアンスはそれを口にする人によって少しずつ違うし、また国によってかなり違いがある。たとえばアメリカのように、世界中さまざまな国から来た移民によって成り立っている国の人は、民族的な血縁意識がないから、同じ地域に住んでいる人びとの共通の利害関係によって結ばれている。ふだんはそうでもないが、いったん戦争になったりすると、けっこう「アメリカのため」という点で一致団結した行動をとる。ただ民族的もしくは宗教的な結びつきでないぶんだけ、熱狂的な言動はさすがに見られない。


 反対に南アフリカとか、旧ユーゴスラビアとか旧ソ連に行くと、異民族や異教徒を国家権力で無理やり抑えつけてきたようなところがあるから、人びとの忠誠心を国家という一点に集中させることは難しい。利害関係の対立した者同士が共存できておればよいほうで、たいていは強大な勢力が他を抑えこんだかたちになっているから、紛争が絶えず、ちょっとでもきっかけがあると血で血を洗うようなことが起る。私たちは幸いにしてそういうところに生れていないからいいようなものだが、国という共通の意識がないところに、愛国心が芽生えるわけがないのである。


 これが中国のような国に行くと、国というものは現実にあるし、愛国という言葉もある。褒め言葉として「あの人は愛国者だ」という言いまわしもある。けれども中国人が愛国という場合の意識と、日本人が愛国という場合の意識はかなり違う。たとえば、日本人の頭のなかにある国とは、日本という地域とそこに住んでいる日本国民と、もう一つ日本政府のことである。わけても国と政府が一つのものと考えられている。もちろん、日本の国を代表する総理大臣は国民によって選ばれた代表のなかから指名される。だから自分らの代表であるという意識が日本人には強いが、総理大臣が議会によって選ばれるずっと以前の封建時代から日本人は時の支配者に従順だった。


 明治よりもっと以前は、日本人の国は藩であった。藩主は一家の家長であると同時に一つの地域の領主でもあった。つまり国は国民のものではなくて、領主の私有物であった。

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