『読むだけですぐに売れ出す40の言葉』
[著]竹内 謙礼
[発行]ディスカヴァー・トゥエンティワン
販促チラシや広告を制作する際に、どのようなキャッチコピーを入れようか、販促物の文章のことばかり気にする人がいる。
特に男性の経営者やチラシの制作者は、販促物は“キャッチコピーありき”で考えている傾向が強いと言えるだろう。
しかし、販促チラシや広告に関しては「読まれる」ことよりも「見られる」ことのほうが“先”である。
人が販促物から情報を得る順番は「見てから、読む」であり、決して「読んでから、見る」という行動パターンにはならないのだ。
結局は、販促チラシや広告が目に留まらない限り、中身のキャッチコピーや文章は読まれないのである。
どんなに素晴らしい文章を販促物に挿入しても、読むきっかけになる視覚的な仕掛けを作っておかなければ、お客さんには永遠にその情報が伝わらない。
このように、キャッチコピーは非常に大事な販促ツールではあるが、そこにばかり目がいってしまうと、“見られる”という仕掛け作りがおろそかになってしまうのである。
販促チラシや広告のキャッチコピーや文章内容を考えること以上に、全体の見た目や構成、色使い、使用する写真やイラストによって、“お客さんの目に留まらせる”という視覚的部分を、もっと意識して販促物を作らなくてはいけないのだ。
“見られる”販促物を作りたいのであれば、まずは周囲にどのようなライバルの販促物が掲載されるのかを考察するべきである。
たとえば、雑誌に広告を展開する場合、まずは他のページに登場する同業他社の広告とどのように差別化を図るかを考える。
ここで注意しなくてはいけないのが、自分で好き勝手な広告を作ってはいけないという点である。なぜならば、広告は、“目に留まる”ということが第一の使命だからである。
競合の広告をまったく参考にせず、自分の作りたい広告を作ってしまうと、おそらく同業他社と似たような広告になってしまうはずである。
似たようなレイアウト、似たようなデザイン、似たようなキャッチコピーになる可能性が高く、結果的に、目に留まりにくい「どこにでもある平凡な広告」になってしまうのである。
だから、まずは自分が広告を出す媒体を徹底研究することである。
そして、それらの広告と見比べた際に「こうやったらうちの会社の広告のほうが目立つ」「この写真を使用したら、うちの広告のほうが目に留まる」など、差別化のポイントを見つけてから、広告を制作してほしい。
たとえば、美容器具の販促チラシを制作する場合、競合の会社が女性の顔写真を使用した販促チラシを毎回制作していたとする。
ここでもし、同じような女性の顔写真を使用した販促チラシを制作してしまったら、同業他社のチラシを見慣れているお客さんには、どちらの広告も印象が薄くなってしまう。
しかし、女性の顔写真ではなく、美容器具をアップにした写真を使用して、使い方をアピールするチラシを制作したら、競合との違いが明確になり、よりお客さんの印象に残る販促チラシになるはずである。
このように、販促チラシや広告は、ただ目立たせるためだけに派手な色やイラストを使ったりするのではなく、周囲の広告やページを研究し、どのように差別化をすれば自社広告が他社よりも目に留まるのか、戦略的に考えていかなくてはいけないのである。