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編集部コラム

戦国の姫と束縛系ヤンデレ夫

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MG (犬耳書店編集部)
2018年4月16日

著者:永井路子

発行:ゴマブックス

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有名人のゴシップは好きですか? また、偉人の意外な逸話とか気になりませんか? この2つのどちらかが当てはまれば、この本は楽しんで読めるかもしれません。

 

今回は直木賞作家が書いた『美女たちの日本史』のなかから、夫の束縛と嫉妬に悩んだ戦国時代のお姫様・細川ガラシャに焦点を当てます。

 

織田政権重役の娘、名門貴族の御曹司と結婚

細川ガラシャ、最初の名前は明智玉(あけちたま)。彼女は織田信長がヘッドハンティングして重役に任命した当代屈指の教養人・明智光秀の娘として生まれます。

 

室町時代に政権の首相を輩出した名門・細川家の御曹司・細川忠興ほそかわただおきと結婚し、のちにとある悩みがきっかけでキリスト教に改宗。ガラシャという洗礼名を授かり、細川ガラシャと呼ばれるようになります。

 

織田政権でもトップクラスの重役の娘であり、夫・忠興は戦に強いだけでなく鎧兜のデザインにも才能を発揮した若手のホープ。ガラシャの未来は明るいかに思われました。

 

父の失敗と夫の裏切り、明るい未来が一挙に崩壊

しかしこの明るい未来を一挙に崩壊させたのが、本能寺の変。光秀が上司の信長にキレて殺害した反乱です。

 

この反乱自体は成功するのですが、才能があっても運のない人は土壇場でつまずく典型例みたいな光秀。信長殺害後の対応はことごとく失敗します。

 

味方してくれるだろうと頼みにしていた忠興にもガン無視され、羽柴秀吉はしばひでよし(のちの豊臣秀吉)に戦で負けて、光秀はあえなく農民の竹槍の餌食になってしまうのです。

 

これによりガラシャの境遇は激変します。

 

優しかったはずの夫・忠興は、犯罪者の娘となったガラシャを慰めることもせず、世間の目を気にして彼女を領内の山中に幽閉する始末。

 

それでいて忠興自身は側室との間に子供までつくったりしているのだからいい気なものです。

 

父の死と夫の行為にショックを受けた【彼女は仏教に救いを求めるのですが、満足できる答えは得られませんでした。】もっとも仏教が悪いということでは無いらしく、【逆賊の娘を慰めたりして、秀吉に憎まれては大変】というお坊さんの本音があったから、ガラシャの心に響かなかったようです。

 

結局、ガラシャの幽閉は忠興の新しい上司となった秀吉の仲裁で解除されます。

 

しかし幽閉から解放されたガラシャを待っていたのは、忠興の病的なまでの嫉妬と束縛でした。なぜこうなったかというと、秀吉には部下の妻に手を出すとの噂があったからなんです。

 

エスカレートする夫の束縛と嫉妬心

忠興にはガラシャを裏切った負い目もありますし、なにより彼女が秀吉の毒牙にかかるのではと心配です。

 

ちなみに「やたらと浮気を疑う人にこそ浮気願望がある!?」という話がありますが、忠興もこれに当てはまるかもしれません。

 

ガラシャは忠興の独占欲に縛られ、屋敷の奥座敷に押し込められます。また忠興はガラシャに執着するあまり、以下のような行為に及びました。

 

・ガラシャに会釈した庭師に嫉妬して斬殺。
・ガラシャに失敗をかばってもらった料理人に嫉妬して斬殺。

 

これに加えて、忠興が戦で地方に行っているから一安心と思いきや、忠興から「他の人に目移りしないように」とわざわざ手紙が送られてきます。

 

ここまでされたらいい加減愛想も尽きそうなものですが、【二人は決して憎みあっているわけではない】というのだから戦国時代の夫婦は不思議です。

 

父の死と忠興の束縛、仏教にも救われなかったガラシャは、救いを求めてキリスト教に改宗。

 

しかしタイミングの悪いことに秀吉がキリスト教の禁止令をしてしまいます。ガラシャは忠興から改宗を迫られますが、やっと得た心の拠り所を手放そうとはしません。

 

キリスト教への信仰を貫こうとするガラシャと、改宗させようと手を尽くす忠興。この2人が最終的にどうなるのか…。結末については、この本に収録されている「恩寵(ガラシア)を胸に」に書かれていますのでご確認を。

 

この本には「顔は微妙でも声がキレイだから好き」と言われて喜ぶ清少納言の話や、夫の浮気を織田信長に愚痴る豊臣秀吉の妻の話など様々な女性の逸話が収録されています。記事単位で購入できるので、ぜひチェックしてみてください。

 

今回取り上げた本はこれ

 

著者:永井路子

発行:ゴマブックス

内容紹介:男本意の見方によって隠されていた日本史に光を当てる。女の側から見ると、こんなに面白い日本史。

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このコラムを書いた人

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MG
犬耳書店編集部

図書館司書、歴史ライター、物品配送と3つの職を掛け持ちしたのち、転職して現在に至る。趣味は日本史と中国史の人物伝を読むこと。歴史好きではあるが文化史や、誰もが知っている有名人には興味が無いマニアック志向。

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